2013年4月16日火曜日

キャラクターに関する判例のまとめ(その1)

「キャラクター」とは、一般的には「漫画やアニメーションの登場する架空の人や動物(登場人物)」、或いは「小説などの言語の著作物の登場人物」と意味しますが、最近では、「ゆるきゃら」などのような地域活性を目的として創作された架空の人や動物などを意味することもあります。

また、一般的には「キャラクター」とは、「漫画等に具体的に表現されたもの」そのものでは無く、それら具体的表現の総体から創り上げられる「イメージ」であると認められていると言えます。
(つまり、「ワンピース」に出てくる「麦わらのルフィ」のキャラクターとは、漫画ワンピースの中で麦わら帽を被り、赤色のシャツを着た「ゴム人間」っていう「イメージ」です。)

しかしながら、最高裁の判決では「漫画のキャラクター」は著作物では無いと明確に判断されています。

小学生の頃は「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」に夢中になり、中学生になると「ガンプラ」を作り、その後は「北斗の拳」、「ドラゴンボール」、「花の慶次」と週刊ジャンプを読み続けし、今でも「ワンピース」と「NARUTO」が好きな私には、全く首肯し兼ねる判断です。

それでは、何故、我国では、キャラクターそのものを独立した著作物として認めないと判断されるに至ったのでしょうか?
また、キャラクターは著作権法上、全く保護されないでしょうか?



まず、キャラクターに関係する判例を列挙すると、以下の如くとなります。
1)ポパイネクタイ事件(最高平4()1443号)
2)ポパイ商標事件(最高昭60()1576号)
3)サザエさん事件(東京地昭51526
4)ライダーマン事件(東京地昭49()5415
5)スヌーピー事件(東京地昭56()7672号)。
6)たいやきくん事件(東京地昭51()3895号)
7)パックマン事件(東京地昭56()8371号)

これらのうち、漫画のキャラクターの著作物性について直接的に判断したのは(1)の「ポパイ事件」です。

まず、(1)のポパイ事件に先立つ裁判例である(3)の「サザエさん事件」では、キャラクター自身の著作物性については言及せず、「複製権侵害を判断するに当たっては、誰が見てもそこに漫画の登場人物(例えば「サザエさん」)が表現されていると感得されるようなものであれば、どの回のどのコマの絵を複製したものであるかを特定する必要はない」と判断しました。

次の(1)の「ポパイネクタイ事件」において、最高裁は、「漫画において一定の名称、容貌、役割等の特徴を有するものとして反復して描かれている登場人物のいわゆるキャラクターは、著作物に当たらない。」と、キャラクターの著作物性を明確に否定しました。
その理由として、「キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということができないからである。」ことを挙げました。

この部分だけを読むと「キャラクター」は真似したい放題のように見えますが、(1)の「ポパイネクタイ事件」の判決文では、以下のようにも述べています。

著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいう」、「複製というためには,第三者の作品が漫画の特定の画面に描かれた登場人物の絵と細部で一致することを要求するものではなく、その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りるというべきである。
これを本件についてみるに、原審の前記認定事実によれば、第一回作品においては、その第三コマないし第五コマに主人公ポパイが、水兵帽をかぶり、水兵服を着、口にパイプをくわえ、腕にはいかりを描いた姿の船乗りとして描かれているところ、本件図柄一は、水兵帽をかぶり、水兵服を着、口にパイプをくわえた船乗りが右腕に力こぶを作っている立ち姿を描いた絵の上下に「POPEYE」「ポパイ」の語を付した図柄である。右によれば、本件図柄一に描かれている絵は、第一回作品の主人公ポパイを描いたものであることを知り得るものであるから、右のポパイの絵の複製に当たり、第一回作品の著作権を侵害するものというべきである。

つまり最高裁判決では、特定の「キャラクター」を具体的に表現した漫画の特定の画面については著作物であることを認め、この漫画の特定の画面を複製したというためには,必ずしもそれが連載漫画の第何回のどのコマの図柄を複製したものである等の点まで特定する必要はなく、結局、それを見た者が、図柄に現れた特徴から「あのキャラクターの絵だ。」と想起できるようなものであれば、著作権の侵害となると判断しました。

以上のように、最高裁は、漫画のキャラクターについては著作物では無いとしながらも、特定の「キャラクター」を具体的に表現した漫画の特定の画面については著作物であることを認め、この漫画の特定の画面に基づいて著作権を侵害するか否かを判断しています。

したがって、「キャラクター」は著作物で無いにしても、結局、「キャラクター」は著作物である漫画を介して、間接的に著作権により保護されていると言えます。


このように、漫画のキャラクターを無断で模倣したり、無断で使用したりすると著作権侵害になるというのは明確な事実ですが、法律的には色々と難しい解釈が絡み合っています。

以上

(弁理士 森本聡)

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