2013年4月23日火曜日

韓国の「ダサソー」の商標使用差止め。日本の「ダイソー」と類似。


2013年4月1日付けの時事ドットコムによると、ソウル西部地裁は、日本の100円ショップ「ダイソー」の韓国の商標権者が、同国の格安雑貨店「ダサソー」の運営会社を相手に求めた商標侵害禁止の仮処分申請を一部認めたそうです。

同地裁は、韓国語では二つの商標が、文字数や、最初と最後の文字が同じであるなど外見上似ていると指摘。業務形態も類似していたため、ダサソーが商標権を侵害している、或いは侵害の恐れがあると判断したそうです。

時事ドットコムの記事はコチラ


このように、今回取り上げる事例では、「ダイソー」と「ダサソー」の二つの商標が「外観上似ている」ことを理由として、両商標は類似していると判断されました。

それでは「外観上類似している」とはどういうことでしょうか?



商標の類否判断について

具体的な本事例の解説に入る前に、まずは、商標の類否判断の基本的な考え方を紹介します(韓国も我国も基本的な考え方は同じです)。

まず、二つの商標の類否判断は、「外観」「称呼」「観念」の3つの要素に基づいて判断されます。まずはココが重要なポイントです。

外観類似とは、対比される商標の見た目が似ていることをいいます。
例えば
ライオン」と「テイオン」(⇒「ラ」と「テ」の形が似ている)

SPORTYAGE」と「SPORTAGE」(真ん中の「Y」の文字の有無は気が付き難い)

OLIMPIC」と「OLYMPIC」(真ん中の「I」と「Y」の違いは気が付き難い)

などは外観類似であるとされています。

称呼類似とは、対比される商標の読み方が似ていることをいいます。
例えば
サンシール」と「サンジール」(濁音か否かの違いのみ)

アスパ」と「アスペ」(ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が50音図の同行に属する)

などは称呼類似であるとされています。

観念類似とは、対比される商標の意味が似ていることをいいます。
例えば
」と「KING

午後の紅茶」と「Afternoon Tea

などは観念類似であるとされています。

以上が商標の類否判断の基本的な考え方です。




本事例における具体的な類否判断

本事案では、「ダイソー」と「ダサソー」とが「外観上類似している」と判断されました。
具体的には、二つの商標が文字数や、最初と最後の文字が同じであることを理由として、「外観上類似している」と判断されました。

両商標のハングルは以下のようになっています。



「ダイソー」(上)と「ダサソー」(下)


まず、原告のダイソーは、韓国内でハングル文字「다이소(読み:ダイソー)」の形で商標権を取得しています。

一方、被告であるダイソーのハングル文字は「다사소(読み:ダサソー)」となっています。

このため、原告ダイソーは、両商標(「다이소」と「다사소」)が類似しているとして、裁判所にダサソーが使用している商標「다사소」の使用の差し止めを求めました。


これに対して、ソウル西部地裁は、両商標の最初と最後の文字(「다」と「소」)が同じあること、中央の文字(「이」と「사」)が似ていることを理由に、「다사소(読み:ダサソー)」は「다이소(読み:ダイソー)」に外観類似していると判断しました。

確かに、中央の文字である「이」と「사」とを比較すると、実際の看板では、ダサソーの「사」の右側部分の横棒は、縦棒から殆ど突出しておらず、ダイソーの「이」の右側部分と形が似ています。また、ダサソーの「사」の左側の部分は丸みを帯びて表示されており、ダイソーの「이」の左側の部分と形が全く違うとは言えません。

このようなダサソーの使用実態も勘案したうえで、裁判所は「両商標は類似している」と判断したものと考えます。


現地文字で商標登録することの重要性

今回の事例は、ダイソーがアルファベット文字ではなく、現地文字で商標登録をしていたことが、勝敗を決める大きなポイントであったと考えます。

つまり、仮にダイソーが「DAISO」の形でのみ商標権を取得していた場合において、当該商標権に基づいて、ダサソー「DASASO」に対して権利を行使しようとしても、上記の「外観」「称呼」「観念」の3要素を基準に考えれば、両商標(「DAISO」と「DASASO」)とは非類似であると判断されたでしょう。

したがって、海外で商標を出願する場合には、統一ブランドという観点からはアルファベット文字で登録することも必要ですが、現地での模倣を防止するという観点からは、現地文字の形で商標を登録しておくことも重要であると考えます。


なお、現在、ダサソーは、韓国特許庁に対して「다사소」の商標登録出願をしているそうです。この商標登録出願が認められた場合には、ダイソーが逆転敗訴となる可能性もあることも補足しておきます。

以上
(弁理士 森本聡)

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