2013年5月14日火曜日

GIF,JPEGの特許問題についてのまとめ


その分野の技術者や専門家は当たり前のように知っているものの、一般の人々には知られていない特許の問題の一つに「GIF特許問題」「JPEG特許問題」というものがあります。

そうです。
どちらも画像フォーマットとして有名な「GIF」「JPEG」です。
これら「GIF」「JPEG」についても、かつては特許云々の問題がありました。


GIF特許問題

今日では画像フォーマットとして当たり前のように使われている「GIF」(Graphics Interchange Format)は、1987年にアメリカのパソコン通信ネットワーク「CompuServe」により開発されました。


GIFフォーマットの著作権はCompuServeが所有していましたが、その利用はライセンスフリーとなっていました。
また、GIFフォーマットは圧縮率が高くパソコン通信でのデータのやり取りに適したものとなっていました。
このため、インターネット時代が始まると「GIF」は画像交換の標準フォーマットとして急速に普及しました。


しかし、1993年に事態は急変しました。

GIFでは画像データ部分を「LZW圧縮法」という技術で圧縮しますが、この圧縮技術がアメリカのUnisys社の特許権に抵触するものだったのです(Unisys社の特許は、1985年に「High speed data compression and decompression apparatus and method」(USP4,558,302)というタイトルで特許が成立していました。
日本でも特許が成立していました。)。


因みに「LZW圧縮法」の「LZW」の名称は、この開発に関係したAbraham Lempel氏とJacob Ziv氏とTerry Welch氏の名前に由来するそうです。


GIFに自社の特許技術が使われていることを知ったUnisys社は、CompuServeに対しライセンス料の支払いを求め、CompuServeはこれを支払いました(1994年)。


一方、Unisys社は、GIFを扱うソフトの供給者に対してもライセンス料の支払いを求めました。
但し、この時点(1994年)では、Unisys社の標的は商用ソフトに限られており、フリーソフトに関しては特許料を徴収しないという声明を発表していました。


しかし、Unisys社は、1996年に手のひらを返したように前言(声明)を撤回し、フリーソフトからも特許料を徴収する予定があると発表しました。

さらに1999年にはフリーソフトウェア向けの無料のLZWライセンス(事実上のフリー許諾)を完全に廃止し、GIF形式に対応したフリーソフトの作者からも特許料を徴収するようになりました。

さらに、GIF画像を公開する一部のネットユーザ(大きなウェブサイトやポータルサイト)からは、特許使用料として一律5000ドルを徴収するという方針を発表しました。
これにより、GIFは何らかの形でお金を出さない限り、使用できなくなってしまいました。


以上のようなUnisys社の対応には、フリーソフトの作者だけではなく、一般ユーザーからも大ブーイングが起こり、「GIFを利用するな」というボイコット運動が世界中で起こりました。また、フリーソフト作者はライセンス料の支払いを嫌い、そのほとんどがGIFサポートを停止してしまいました。

同時に、GIFに変わる特許のないフォーマットを生み出そうという動きが起こり、「PNG」というフォーマットが開発されました。


2003年6月20日に同社の米国特許権は存続期間満了により失効しました。日本では2004年6月20日に失効しました。これにより、Unisys社の特許権を巡るGIF特許問題は終焉となりました。


JPEGの特許問題

一方、「JPEG」(Joint Photographic Experts Group)とは、コンピュータなどで扱われる静止画像のデジタルデータを圧縮する方式のひとつで、今日では写真データのフォーマットとして広く知られています。

米国のForgent Networks, Inc社が、画像の可逆圧縮で一般的に用いられる符号化方式の一つである「2次元ランレングス符号化」に関する特許を保有していました(米国特許番号が4,698,672であることから「672特許」とも呼ばれていました。)。
つまり、画像の可逆圧縮に技術に関する特許権をForgent社は保有していました。
672特許の図1



2002年に、Forgent社は、「JPEG符号化を用いる機器は同特許に抵触する」として、デジタルカメラメーカーをはじめとする主要機器メーカーにライセンス料の支払いを求めました。一説によると、ソニーは1620万米ドル,三洋電機は1500万米ドルのライセンス料をForgent社に支払ったそうです。


その後もForgent社は、2004年には,機器メーカー31社に対して特許料の支払いを求める訴訟を起こしていました。Yahoo等にも訴訟を起こしました。


しかしながら、2006年にForgent社は、全ての訴訟で和解したと発表しました。訴訟では分が悪かったようです。
それでも最終的にForgent社は、672特許で1億1000万米ドル以上を稼いだそうです。


その後にForgent社の特許権は存続期間満了により失効しました。

以上です。
(弁理士 森本聡)

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