2013年6月11日火曜日

アプリケーションプログラミングインタフェース(API)と著作権

先日、「Oracle対Googleの控訴審でAPIへの著作権適用に反対する意見書、科学者が連名で提出」というニュースが流れました。
(2013年5月31日付の「@IT」


つまり、Javaで有名なサン・マイクロシステムズ社を買収したOracle(オラクル)が、Googleに対して「AndroidはJava APIに係る知的所有権を侵害している」と訴えた訴訟の控訴審(第2審)において、著名な科学者達が連名で「APIは著作物では無い」という意見書を裁判所に提出したようです。


なお、この裁判の一審判決では、「APIに著作権は適用できない」と認定したそうです。また、「著作権適用の範囲を過度に広げようとするOracleの動きは、著作権法の趣旨やコンピュータ科学の性質に相容れない」と指摘したそうです。


そこで、今回は、「コンピュータプログラム」、「コンピュータプログラム言語」、および「アプリケーションプログラミングインタフェース(API)」の三者が、我国の著作権法でどのように扱われているのかについて解説します。


■「コンピュータプログラム」について

まず、「コンピュータプログラム」は著作権法上の著作物であると明記されています(著作権法10条第1項第9号)。

また、「プログラム」とは、電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。」と規定されています(著作権法2条1項10の2)。

ここにいう「プログラム」には、ワープロソフトのプログラムやイラストソフトのプログラムのほか、テレビやカメラ等の制御プログラムも含まれます。

また、ソースプログラムやオブジェクトプログラムもプログラムに該当します。

オペレーションシステムやコンパイラ等も含まれます。


因みに、20年以上も前ですが、ゲームメーカーのタイトーが、ゲーム機「スペース・インベーダー・パートⅡ」の著作権が侵害されたとして、アイ・エヌ・ジ・エンタープライゼズを訴えた事件がありました。この事件で裁判所は、「ソース・コードは作成者の論理的思考が必要とされ、かつ個別的な相違が生じるものであるため、著作権法上保護される著作物である」と判断して、「ソース・コードの複製物に当たるオブジェクト・コードをコピーすることは、ソース・コードの著作権を侵害したことになる。」と認定して、被告に損害賠償を命じました(東京地方裁判所1982年12月6日判決)。


スペース・インベーダー・パートⅡ

この事件が、我国で始めてプログラムが著作物として認められた事件でした。
そして、この事件を受けて著作権法の改正が行われ、プログラムが著作物であることが著作権法に明記されました。


■「コンピュータプログラム言語」について

「プログラム言語」は、著作権法上の著作物には該当しません。つまり、プログラム言語には著作権は発生しません。

これは、もしプログラム言語自体に著作権が発生するとしたら、その言語を用いて作成したプログラムすべてに、プログラム言語の開発者の権利が及ぶこととなり、実質的に誰もその言語を用いることができなくなるからです。


■「アプリケーションプログラミングインタフェース(API)」について

「API」とは、ソフトウェアを開発する際に使用できる命令や関数の集合、或いはそれらを利用するためのプログラム上の手続きを定めた規約の集合を意味します。

個々のソフトウェアの開発者がソフトウェアの持つすべての機能をプログラミングするのは困難で無駄が多いため、多くのソフトウェアが共通して利用する機能は、「API」という「規約」としてまとめられています。

そして、個々の開発者は規約に従ってその機能を「呼び出す」だけで、自分でプログラミングすることなくその機能を利用したソフトウェアを作成することができるようになっています。

のようなAPIも、プログラム言語と同様に我国では著作物では無いと解されています。

これは、プログラム言語と同様に、APIに著作権が発生するとしたら、そのAPIを用いて作成したプログラムの全てに、API開発者の権利が及ぶことになるからです。


著作権法は、あくまでも表現それ自体を保護するものです。したがって、表現の手段となる言語や、プログラム上の手続きを定めた規約(API)といった表現のためのルールについては、著作権法は保護しないということです。



以上のように、「API」は、著作権法の保護対象ではないという考えが趨勢のようで、先のOracle対Googleの訴訟も、Oracleにはチョット歩が悪そうです。

なお、Androidのアプリ開発では、Java開発者にとって馴染みのあるJava言語やJava API群の多くを利用できるそうです。

また、開発環境もJava上に構築してあり、統合開発ツールEclipseが使えるそうです。

ところが、Androidには旧サンがライセンスするJavaプラットフォームは含まれないため、Oracleはロイヤルティ収入を得ることができず、このことを問題視したOracleが金銭目的でGoogleを訴えたというのが実情のようです。


以上です。
(弁理士 森本聡)

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